労務問題の解決
中小企業において労使は車の両輪であって事業発展のパートナーと考えられている方が多いのではないかと思います。
労働者の方のために賞与を多くしたのに感謝もされなかったという経験をされたことがある方はいませんか。ときおり「従業員に自分の気持ちをわかってもらえない」と嘆いている経営者の方とお会いする機会があります。
しかしながら、経営パートナーを経験して独立した私の経験からすると、そもそも従業員が社長の気持ちを理解することは難しい、労使には深い溝があると思いました。
例えば、給料のことです。従業員は毎月出社さえしていればきちんと銀行口座に振り込まれることが当たり前で、しかも「働いたんだから当たり前」という発想を持っています。
経営者の場合、給料日の前日に現金が足りないことがあります。こうした場合、社長の個人的な口座からお金を持ってきて会社口座から給与を支払うことになります。
しかしながら、従業員は身を削って従業員に給与を払っても、経営者のそうした思いは理解できず「給与はもらって当然。むしろ少ないくらい」と考えていることが多いといえます。
ですから、と労働者との間には、なかなか埋めることのできない隙間があるのも事実だと思います。こうした事実は、経営者にしても、労働者にしても受け入れる必要があると思います。
私たちの法律事務所では、その隙間を埋めるお手伝いをしています。
使用者の労働遂行確保の利益を損なってしまう,問題社員,パワハラ問題,退職勧奨、解雇,残業代請求など,中小企業の事業維持を困難にする問題については,労働者保護の諸施策,話し合いの機会の開催など労働者保護の配慮をすることにより,大きな労務問題のトラブルを予防します。
労務問題について
「自社の理念を表した就業規則をオーダーメイドで作って欲しい」「退職した従業員から残業代の請求をされた」「知的ワークなので現実に合った労働時間を設定したい」「問題社員に退職してもらいたい」「パワハラと訴えられた」「整理解雇を考えている」などのお悩みに迅速に対応します。
私たちはクライアントの理念・創業の想いを聴き取り、それを反映させた就業規則をオーダーメイドで作成して、従業員にも自社の理念をもった活動をしてもらうお手伝いをさせていただいております。
また、法律上適正な制度の利用を十分になされていないというケースもあります。
例えば、事業再生をするうえで、最初に必要となる対応は財務内容の改善です。具体的にいえば、①売り上げを増加し、②経費を削減をして営業利益を増やすことが必要です。
まずは売り上げ増加策や人件費以外の経費の削減を行うかどうかの財務内容の確認をきちんと行います。経費のうち人件費や賃料などの固定費は中小企業の共通の悩みです。特にサービス業においては固定費に占める人件費割合が高いことが多いと考えられています。もっとも、人件費をやみくもに削減してしまいサービスが劣化して顧客離れが起きれば本末転倒ですし、その会社の創業の想いを実現していくのは難しいと考えられます。
また、他方で、従業員との避けられることのできる労働紛争を誘発することは相当ではありません。
こうした人件費の削減をするにあたり経営者自身の報酬カット、不要な役員の解任、管理職の賃金引き下げなど、自ら痛みとリスクを引き受ける姿勢が必要となる厳しい局面も十分考えられます。
労働事件の相談・依頼を経営者側として取り組む場合には,中小企業においては,労使は車の両輪であって事業発展のパートナーという認識で、人件費の削減のために実務上行われている賃金引き下げ、希望退職の募集、退職勧奨、整理解雇など、経営者の方の悩みに寄り添いつつ、パートナーにとっても幸せの大きい提案をいたします。
労務問題の解決の流れ
主要な手続の流れです。(※必ず下記の流れによるわけではありません)
解雇の場合
解雇の場合は、客観的合理的理由があり、社会常識に照らして「もっともだ」という理由がなければ解雇することはできないとされています。従って、使用者の解雇の権利は大きく制限されているといえます。
仮に、解雇無効と判断されてしまいますと、会社は大きな打撃を受けることになります。解雇無効の判断がなされますと、解雇してから解雇無効の決定が出るまでの社員の給料の支払いをしなければなりません。また、実質的な解決でも例えば定年までの賃金に一定料率を差し引いてた金額が裁判所から和解案として示される場合もあります。
こうした場合は数百万円単位での負担をしなければならない場面も出てきます。このように多額の金銭がからむと良く分からない人たちや共産党系の弁護士など、さまざまな人たちが登場してきて、利害関係が複雑になりトラブルの渦中に巻き込まれてしまいます。
解雇の裁判については、解雇理由があるか、その相当性を争うことがほとんどですので、こうした理由があるかどうかを弁護士に依頼して検討することが良いと思います。
また、試用期間中の解雇も簡単にできるわけではありません。同じように客観的合理的な理由が必要ですし、本採用に至らなくてももっともだ、という理由が必要になります。ただし、本採用と比べると試用期間は緩やかに解雇が認められてはいます。
もっとも、新卒一括採用という社会的実態がある日本では、緩やかといっても、好き嫌いの世界では本採用を拒むことは客観的合理的理由があるとはいえません。
このように、どういう人か分からないというような場合の採用の悩みについてもご相談に応じています。
STEP1
- 戦略の決定・費用の説明・受任手続
STEP2
- 役員・従業員の方からの事実関係の確認
- 資料情報の取得・分析
- 解雇の場合、無断欠勤、遅刻など解雇の裏付証拠収集
- 社員の問題行動をこまかく記録する
- 人事部長、顧問弁護士名等での警告書を出す
- 企業秩序を乱した場合の「懲戒解雇」とするのか
STEP3
- 改めての方針の確認
- 解雇予告手当の支払いをするか否か(除外認定への対応)
- 訴訟・仮処分・労働審判に対する対応
退職勧奨・賃金の減額の場合
- 労働者に辞めてもらうのには、解雇だけがすべてではありません。「退職勧奨」というように、経営者から辞めてもらえないか、と打診する方法があります。そして、打診を受けて合意の上で辞めてもらう方法のことです。ただし、特定の社員に対する退職勧奨というのは「嫌がらせ」ととらえられることがあります。特に、ひとりの社員だけ何時間も退職の話をする、仕事を取り上げてしまう等の行為がでると、労働者から依頼を受けた弁護士から「実質解雇」と主張されたり、不法行為として慰藉料を請求される例が出てきています。
- 現実的には、中小企業の場合は、話し合いのうえで退職してもらう退職勧奨の方が解雇より多いのではないかと考えています。
STEP1
- 戦略の決定・費用の説明・受任手続
STEP2
- 法的問題点の把握
(不利益変更か否か)の判断 - 資料情報の取得分析
- 結論の提示
STEP3
- 従業員に対する説明への同席等
残業代規制についての措置
STEP1
- 業種によって最適の変形労働時間制
フレックスタイム制及びみなし労働時間制の採用について調査
STEP2
- 就業規則への反映
労務問題のポイント
① 退職勧奨の有効活用
退職勧奨を受けた従業員は、『失業保険はすぐもらえるのか』を気にします。
解雇であれば待機期間はないのは常識ですが、雇用保険の取扱は『会社都合』となるので、『特定受給資格者』となります。
失業保険の給付は、『自己都合』とは異なり待機期間は7日間だけです。
このように、雇用保険の離職理由のくくりのなかでは、『解雇』(重責解雇を除く)と『退職勧奨』は、『会社都合での退職』と同じ扱いとなっています。
② 外国人の雇用問題
外国人を雇用する場合には、雇用主は、その外国人の在留資格と在留期間を確認のうえ、入管法に違反しないか事前に確認しておく必要があります。外国人にも労働基準法などが適用されますので、特に外国人採用では労働条件の明示義務との関係でトラブルが生じることが多いといえます。従って、当該外国人労働者が理解することのできる言語で、明確に労働条件を示すことがトラブルを防止することに役立つといえます。
また、社会保険についても加入義務が原則としてありますから、年金などに加入したくないというような外国人についてもきちんと源泉徴収をしておかないと年金事務所との関係では、事業者が直接当該金額を支払う義務を負うことになってしまいますので、注意が必要です。