パチンコ屋の土地・建物を取得すると営業権は取得されるか。
建物については,減価償却をすることができますし,営業権も減価償却をすることができます。
では,パチンコ屋さんが土地・建物を譲渡する場合,同時にパチンコ店の営業権の譲渡があったといえるのでしょうか。
この点,昭和60年7月11日の裁決では,①例年欠損が続いていたことから,平均的な利益を上回る利益を上げられる超過収益力がないということ,②超過収益力の要因となる事実が認められないこと,③商号、取引先、従業員を引き継いでいないことから,営業権の譲渡があったとの事実認定を否定しました。
そして,営業権についての減価償却の額の損金算入は認められませんでした。
営業権については,会社法の再編にともなってその定義が変更されているのではないか,と考えることもできます。ですから取り上げている裁決例が現在でも参考にすることができるかは分かりません。
この裁決では,営業権の取得があったと認められるには,このような財産的価値のある事実関係が存在し,かつ,それが営業の譲渡のよって,譲受人に移転したものと客観的に認められることが必要であるとされています。