著作権侵害の成否・複製権・翻案権
複製とは,印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有効的に再製すること」をいうと定義されている。複製には既存の著作物αと同じであること(α)のほか、修正などを加えるが本質的特徴が維持される(α’)がある。
また,翻案は,既存の具体物の具体的表現に修正・増減・変更を加え、その部分に創作性がある場合(α+βのβ部分)として区別をすることができる。
翻案については,脚色,映画化があげられている。また,要約については,ダイジェストという形である程度の永さの著作物を短くする行為は翻案に該当する。もっとも,著作物を紹介する程度のものは,翻案には該当しない。
最高裁判決は、翻案について「既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減、変更等に加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為をいう」との規範を定立している。
もっとも,複製ないし翻案に該当するためには既存の著作物に依拠,すなわち著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要となります。
そうしますと,①手続の流れや法令の内容を法令に規定に従って整理したにすぎない図表、②一般の法律図書のある部分についても複製にも翻案にもあたらないとしています。
したがって,最高裁は,「表現上の本質的な特徴」については、「表現」及び「アイディア」を重視しているものと考えられます。
判例は「特に表現上の本質的な特徴」がどこにあるか、本質的な特徴の同一性を維持されているか,という観点を重視しているものと考えられます。