繰越欠損金と財務諸表の目のつけどころ

繰越欠損金とは、会社がある事業年度で赤字を出した場合に、その額を次の年度に繰り越して黒字から差し引くことが認められています。

 

これを繰越欠損金といいます。

 

現在の法人税法では、繰り越せる期間は9年間となっています。したがって、毎年度の黒字額から最大で80%差し引いてしまって構わないということになります。

つまりためておいた赤字を小出しに出して、法人税の課税を調整するという発想といえそうです。

 

平成27年6月期に20億円の赤字を出しました。その20億円を次年度に繰越、平成28年6月期に10億円の黒字を出したときには、その8割にあたる8億円を差し引いて、残り2億円に対して法人税が課税されることになります。繰越欠損金は20億円から12億円に減少します。これを平成29年6月以降も黒字から差し引くことができます。

 

財務諸表の目のつけどころですが、よく見られるのが買掛金に対して商品・仕入品の額が異常に多い場合があります。買掛金は債権をもっているという扱いとなりますね。そして、買掛金の額に比較して売掛金の額、つまり債務の額が異常に多い場合は、商品在庫、仕掛中の物品または売掛金を膨らませている、つまり資産をもっていると装っている可能性があります。売上高からみて、仕掛品や原材料が多い場合も粉飾が疑われる例といえます。

 

損益計算書については、一般に売上高を少なくしたり、仕入原価を高くしたり、販売管理費=経費を水増ししたりして利益をおさえ法人税などを免れる粉飾がみられます。また金融機関からの融資を維持するために売上高を高くして、黒字を装うケースもあります。

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