現金主義会計から発生主義会計への変化

現金主義会計とは、収益と費用を現金の収入と支出に基づいて認識する損益計算の方法のことをいいます。

ある意味で、現金という「物」が動いて認識するので「保守主義」にかなっているのではないかとも考えられます。

これに対して、発生主義会計とは、収益・費用を経済的価値の増加又は減少に基づいて認識する損益方法のことをいいます。

しかしながら、これって貸倒が生じた場合は、どうなるのだ、という疑問も生じるところです。

この点、発生主義を採用する論拠というのは、信用取引による経済制度の発展、棚卸し資産の在庫の状態化、固定資産・設備の増加が挙げられるといわれています。

しかしながら、信用取引はそのとおりかもしれませんが、近時の決済のあり方はむしろ迅速性に重点を移してきていると考えることも可能です。棚卸し資産の在庫の状態化は経営者であれば誰も望まないことでしょう。

固定資産や設備についても適正配置をしているだけで「増加」していると決めつけられると違和感が生じるところではないか、とも思います。

そういう意味では、現金主義も見直されて良いように思います。

発生主義の方が、企業のプラスの業績評価を重視する現代企業会計では都合が良いということで発生主義に傾斜していったわけですが、不況による貸倒の危険の増大を踏まえると果たして合理的なのか、立法政策としては疑問が残ると考えることもできます。

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