金融円滑化法を終了すると金融機関の義務が変わるのですか。
これはNOであるといえます。
もともと金融円滑化法があるからリスケジュールなどの条件変更の申込みが金融機関に必ず承諾されてきたという法的効果を生じていたわけではありません。
金融機関は、できる限り応じる努力義務があっただけなのです(4条1項)。
法的効果を持っていたのは、金融機関が当局に報告義務があるという点だけでした(8条)。
要するに、なのですが報告義務があるから間接的に金融機関に萎縮効果が働いて承諾してきたという事実上の効果が生じていたという整理ができるのではないかと思います。
金融円滑化法の趣旨については、金融検査マニュアルや監督の指針にも取り込まれています。
そうである以上、一応のところは、その趣旨は円滑化法の期限切れの後も生きるといえるのです。
このことから、金融機関の融資に対する対応が劇的に変わるという確率はそれほど高くないとはいえるかもしれません。
しかし、報告義務による間接的な強制力の効果は金融機関にありましたから場合によっては、情勢の大きな変化が生じる可能性があります。
もっとも、貸し剥がしといった大胆なハードランディングが行われる懸念は減少していると考えられるのではないかと思われます。
なお、平成25年1月11日の一部報道によりますと、金融庁はすべての金融機関に対して中小企業の再生支援への取り組みを定期的に開示するように銀行法などを改めて開示を義務化するということです。
期限切れで法的な義務はなくなるのですが、銀行法等で定めない事柄についても任意で報告を続けるよう要請すると一部で報道されています。