個人事業主の任意整理
個人の任意整理について、税務上は、①債務免除を受けた場合、②債務整理のために資産譲渡を行った場合の課税関係が問題となります。
① 債務免除を受けた場合
この点、債権者が法人であるか個人であるかによって結論が変わってきます。
法人の場合については贈与税は課せられる余地はありません。また、所得税について は、原則として課税されないと考えられることが多いと思われます(所得税基本通達36-1 7を参照せよ)。
これに対して、債権者が個人の場合はどのようになるのでしょうか。
さて、贈与税は例外的なケースですが、資力喪失状態にあるので、かからないとみてよ いと思われます(相続税法8条但書)。
さて、所得税については、個人の債権者から債務免除を受けた場合、課税されないこと になっています(所得税法9条1項16号)。贈与税の場合は、債務免除益が課税されるこ とになっていますが、任意整理をしている場合は資力喪失状態にあるので例外的に対象 にならないだけなのです。したがって、贈与税と所得税の二重課税を防止するために所得 税については課税されないと法定されています。