事業継続のためリース物件は使用可能ですか
個人事業主が小規模事業再生をするという場合、OA機器は必要不可欠ですがリースで調達している例が稀ではありません。リースの中には「フルペイアウト方式のファイナンスリース契約」というものがあります。フルペイアウト方式は、リース会社がリース期間中にリース物件の取得費、金利その他の経費を全額回収することができるようにリース料が算定されています。
この点、最判平成20年12月16日民集62巻10号2561頁は、フルペイアウト方式について、再生手続が開始され、再生手続開始の申立てをリース契約の解除事由とする特約に基づいてリース会社がリース契約を解除する旨の意思表示をした場合において、この特約の部分を民事再生手続の趣旨、目的に反するものとして無効、と判示しています。
したがって、再生債務者は、ユーザーが再生手続開始の申立をしたことがリース契約の解除事由として定められているとしても、その特約は無効であると主張することができると考えられます。
フルペイアウトの場合は、リース物件は担保としての意味を持っています。したがって、再生手続開始前の原因に基づいて生じたリース料債権は別除権付きの再生債権として取り扱われます。
したがって、再生債務者は、再生計画によらずに弁済はできません。
注意しなければならないのは、リース会社は別除権者という点です。したがって、再生手続開始時においてリース料債権が未払であるなどの場合にはリース契約の解除事由が存在するものとして、リース契約を解除してリース物件の引き揚げが可能となります。
また、再生債務者としては、リース物件を継続して使用するために、再生手続開始後にリース会社との間で別除権協定を締結するという考え方もあります。別除権協定の締結については、裁判所の許可を要する事項とされないことが一般ですが、個人再生委員がいる場合などにはその必要性の説明が不可欠ですので、弁護士とよく協議する必要があります。