再生計画による支払ができない場合は?
再生手続が終結すれば、債務者は再生計画に従って債務の返済をしていくだけということになります。
それでは,予想外の外部・内部環境の変化が生じて再生計画に従った弁済ができなくなってしまった場合はどうなるのでしょうか。
原則は計画通りに返済。
しかし、例外として、①ハードシップ免責、②再生計画の変更-の申立をすることが考えられます。
ハードシップ免責というのは要件が法定されており,本当に「ハード」です。債務者の責任とはいえない事情で返済ができなくなり、4分の3以上返し終えている場合です。ある意味、そこまでやっているのであればもういいじゃないかという感覚ですので,3年のうち1年目で返済できなくなったというような場合にハードシップ免責ということはあり得ません。
そこで、再生計画の変更の申立をするということになりますが、これはなかなか裁判所に約束したことができなくなったので・・・という申出ですので,認められるかどうかは中身やこれまでの返済状況によりけりといったところです。
ポイントとして,債務額を減らすことは認められません。既に減額されていますし,債権者がその金額であるから賛成したということもあるからです。
したがって、返済期間の延長を認めることを求めることになります。具体的に申せば、もともと3年プランを更に2年延長というのは,比較でいえば認められやすいと思います。
なぜかといえば、もともと弁済期間は3年が原則で最長5年までだからです。ですから,再生計画案が5年の場合に2年延ばしてもらうということも不可能ではありませんが,全体で7年というのはかなり挑戦的な試みになると考えられます。
なお,個人民事再生の要件を満たしている場合は,新たに申し立てることができる場合があります。
このようなことがあり得るわけですが、再生計画案にしたがった弁済が難しくてもほったらかしにしてはいけません。そうしますと、裁判所が再生手続を廃止したり計画を取り消したりする場合が出てくるのです。そうしますと,再生手続前の債務の状態に戻ってしまいますので,また元通り債務がふくらむということになるのです。
このようなケースでは、裁判所が職権で破産手続開始決定を行い破産となる場合も出てきます。