仮登記担保契約を締結してしまったら
Q お金を借りる際に、代物弁済の予約ということで自宅に仮登記を打たれてしまいました。ところが、弁済期になってお金を持参したら「帰属させるから」といわれてお金を受け取ってもらえません。どうしたらよいですか。
法技術的には受領拒絶ということになりますので供託原因を構成するので供託されるのが良いと思います。私も最近仮登記担保に関する案件に遭遇したのですが、仮登記担保は昭和42年から48年にかけて流行した担保の手法です。何がすごいかというと5000万円の価値がある土地について、100万円を貸し付けて返せないと土地を丸ごと持って行ってしまう、ということが起こったのです。
しかしながら、最大判昭和49年10月23日などが清算義務を認めるようになりました。そして、債権者は、目的物の価額が債権額を上回る場合には、その差額を清算金として支払うことが義務付けられており、しかもそれが目的不動産の所有権移転登記及び引き渡しと同時履行の関係になるとされています。
また、債務者は、清算金の支払いを受けるまでは、債務を弁済して所有権を受け戻す権利を保障される(仮登記担保11条)。
したがって、このような制約が加えられたところ、登記実務においても仮登記担保の利用は減少している。この慣行は、結局のところ、民法の諸制度をその本来の趣旨から外れ、曲げて利用しようとした結果生じたあだ花であったと評してよいであろう、とされています。
現在でも、清算をしないで、まるまる不動産を取得するという、40年前に決着がついているような話で、不動産を取得されようとされる方もいます。こういう方が相手方についた場合は、直ちに弁護士に相談されることをおすすめいたします。