税金・社会保険料の分納
先ほどの続きとして,財務支出が大きい場合は,リスケジューリングをお願いするのも一つですが,同時に伴うのが法人税,地方税,健康保険料等の未払です。
当たり前ですが、税金は支払わないといけないものですし,健康保険料の事業者負担も人を雇い入れる以上当然の負担ですから,原則的に支払うという方向性でなければなりません。
もっとも,債権額確定→徴収とセクションは分かれていますから,債権額確定の段階で,「ここまで高額にならない」とミスがあれば徹底的に追及していくべきでしょう。
ただ,徴収の段階では,確定された債権額の請求をされているだけですので,お役所仕事で債権を減らしてくださいというのは銀行からリスケジュールを得るということよりもかなり難しいということは肝に銘じていてもらいたいと思います。
税金や社会保険料は,ご存知のとおり,会社預金はもちろん最悪売掛金,事業用の資産まで差し押さえてくるということもあります。
基本的に分割の交渉に出向かないと,いきなり上記の口座ロックを受けてしまうというパターンがあります。行政当局との交渉は大変な負担ですが,場合によっては弁護士に同行を頼むというのも一つではないかと思います。
基本的に債務額が増える方向での分割交渉には応じてくれませんし,クールなところは「年度末」といってくることもあります。おかしな話かも知れませんが、以前お話しした大企業相手の取引が部長が交代したとたんダメになったのと同じように,担当者が変わり一括弁済を迫られたという話もでています。
しかし,企業というのは,人々を雇い,国に税金を納め,社会の存立の基盤といっても過言ではありません。公務員の給与も日本の大半を占める中小企業から支払われた税金で支えられているといっても過言ではないはずです。
最近,担当者が自分の業務を減らすために,分割返済を一切認めずどんどんつぶす方向に梶を切っている地方都市の事務所があるといいます。ここは地方都市で温度差があります。
しかし「官から民へ」といって,「一に雇用、二に雇用、三に雇用」といっておきながら,官が民の中小企業をつぶして,多くの雇用もまたつぶすというこの実態,是非,政策担当者はみて欲しいと思うのです。