投資経験の乏しい夫婦に対する説明義務。

購入当時69歳と71歳の夫婦に対して,証券会社が販売した投資商品の説明義務違反を認めた判決が出されました。

 

このケースでは適合性原則違反,要するに商品の内容にも問題があると指摘されています。

 

商品の内容は,豪ドル建日経平均連動債でした。期限が10年なのですが,基準日に日経平均株価終値が103%以上になれば早期償還されます。

 

他方、観測期間中に一度でも当初の56%以下になれば以後は下落率に応じた損失が発生する仕組みでした。

さらに,当初の3ヶ月を越えますと日経平均株価が当初の80パーセント以上かどうかで利率が大きく変わるというものでした。

 

このように,仕組みが複雑でいて,必ずしも理解が簡単ではなく高度なリスクも存在する場合については,購入者の投資判断の能力も考慮するべきことを示唆したといえます。

 

ここでは,担当者から一応の説明はあったものの、担当者が原告らの属性や投資意向を正しく認識していませんでした。また,顧客保護のための社内体制の不備を指摘されており適合性原則違反だけではなく,説明義務違反を認めた事例として注目されます(大阪地判平成24年12月3日)。

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