時価承継と簿価承継。
会社合併の相談を受けたりしますので、少しコメントします。
合併は時価承継が基本となっています。これは企業結合会計基準に定める「取得」の概念といえます。
税法上は、適格合併は簿価、非適格が時価となっています。
これは簿価で取得した含み損益のある会社を利用することを防止するためです。
A社は10億円の利益があります。B社は簿価10億円で時価1億円の土地を持っています。
吸収合併後、譲渡損9億円を計上して通算して、実質的に節税といいますか脱税といいますか、に利用されてしまうということになっています。
このようにグループ外から持ち込んだ含み損益の利用は認めないというのが組織再編編制税制の考え方になっています。
こうした「ダメ」という考え方は相続税にまで及んでいまして、相続時精算課税制度を利用して、父から子に土地を贈与した後、売却して譲渡損を計上して事業所得と損益通算してしまうということも理屈としてはあり得たわけです。しかし、平成16年の相続税法の改正で、土地譲渡損益の通算が禁止されることになっています。