セカンドオピニオンのすすめと注意
最近は、医療の分野にとどまらず、法律事務においてもセカンドオピニオンを求められる方が増えています。
例えば悪性腫瘍のために足の切断をすすめられたときに、3件ほど病院を廻ったもののすべて切断をすすめられましたが、一つの病院は生命の危険は高まるが切断しないで治療する方法がある、という話しを聴いたことがあります。もちろん生命の危険は高まるのですが、その子は空手をやっていましたから、足を切断してしまえば生きがいを失うことにもなってしまうでしょう。その子は迷わずリスクの高い、足を切断しない治療方法を選択しました。
さて、法律相談においてもセカンドオピニオンをとることは重要であると思います。しかしながら、注意しておきたいのは受けるつもりがない弁護士というのは、ある程度期待値の高いことをいいがちだ、ということです。
上記の医師の場合はリスクの高い治療を自ら施さないといけないわけなので期待値が高い意見を述べればその患者はやってきますから無責任なことはいえません。
ですが、セカンドオピニオンの弁護士は往々にして「評論家」になりがちです。そして既に受任している弁護士の事務処理に口を出して信頼関係にヒビをいれるだけいれておいて、自分は受任して責任はとらない、そういう無責任なセカンドオピニオンも増えていると思います。
個人的には、セカンドオピニオンをとられる場合は、事件処理について不安を抱えているということでしょうから、無料の相談は利用せず、またポイントについて書面を作成してくれる、仮に期待値が高いことをいってくれる場合、あなたであれば受任してくれるのかどうか、というのを率直に尋ねた方が良いのではないか、と思います。
私の事務所でのセカンドオピニオンのご相談も受けておりますが、こうした相談は弁護士の事務処理の合理性をみるものということになりますので有償を原則とさせていただいております。
最近、私が依頼を受けている案件について、依頼者の方がセカンドオピニオンを求めに他の法律事務所にいかれたことがありました。興味本位なのでしょうがその弁護士は委任契約書をみて、法律相談を終了した後に、郵送するように求めた弁護士がいました。その後、相談者に対しては何の連絡もとっていません。
しかしながら、法律相談の趣旨・目的から委任契約の内容を確認することはあるでしょうが、コピーの交付を求めたり、法律相談の趣旨・目的から外れた行為といわざるを得ないと思います。目的外利用のために交付を求めたことはほぼ間違いないだろうと思いました。
そして、その後、その事務所の弁護士が、連絡をとってきて、事件に介入するような言動をしてきました。私が、「では、あなたが手術をされますか」というと、「私たちはしない」ものの、暗に事件に介入して金銭を要求するような言動をしてきました。法令以前に、「人間として常に何が正しいか」という観点から判断いたしますと応じかねる内容でしたので、当然ですがお断りいたしました。
残念ですが、古くからの人権派を標榜していたり労働者の味方を標榜している事務所の弁護士でしたが、弁護士の場合は歴史があれば良いというものではありませんね。人間というのは、日々心を尽くし精進していなければ堕落していくものだな、と改めて感じました。弁護士会の役員を務めたことのある人物ですが諸行無常を感じました。
私は、医師のように逃げずに自分で手術を担当する責任感をもって意見を述べております。
それがセカンドオピニオンの目的と考えています。
私は、そういうことがありましたよ、と依頼者に伝えて、大変後悔しているようでした。聴き取りをしたところ、その悪徳弁護士は、常に腕組みをして怒鳴りつけるようなことで、「それはそうかもしれない」「そんなことはしらない」と断定口調で、かつ、有益なアドバイスもなかったと本人は受け止めているようでした。そして、40分の相談で最初15000円の顧問契約書を持ってこられたと受け止めていました。結果的には10000円の相談料になったそうですが、40分の労働相談で10000円というのも高いと思います。
セカンドオピニオンも大事ですが、悪徳弁護士にセカンドオピニオンを頼むと、結果、既に依頼をしている弁護士との関係に困惑が生じるだけに終わったということがありますから、まずご要望があるのであれば率直に受任弁護士に伝えるのが良いのではないか、と思います。