労働審判雑感。

労働審判は、労働事件では私もすすめる類型です。というのも,全体的な紛争が弁護士・裁判所が関与するものの中では簡易・迅速な解決が可能だからだと思います。

 

という意味で、実質親族間の主導権争いと思われるようなものが持ち込まれているというようなこともあるようです。

 

ただ,残業代については証拠があるものが労働審判に向いています。逆に陳述書というものだけでは労働審判には向いていないかもしれません。ただ、調停的機能をも持つのでトライする価値はあるかもしれません。代理人とよく相談してみる必要があるでしょう。

残業代については、使用者側であっても対応を間違えると資金繰りに困難を抱えかねません。そういう意味で,迅速に処理をするという意味合いはありますし,細かい証拠がなくても大枠で労働時間は認定なケースがあるので、労働審判で解決できるケースもあります。ちなみに残業代については示談交渉で解決する印象もあるな、と感じています。

 

また,パワハラやセクハラも労働審判に向いていません。というのも、セクハラ・パワハラ関連は立証が、離婚と同じく両者の言い分が中心となり、客観的な証拠に乏しいからです。

セクハラ訴訟は,長い訴訟は心理的な負担が当事者に重たいと思います。お互いに。

それぞれが簡易迅速に解決をするモチベーションを持っているからこそ,裁判所も積極的に関与して欲しいと思いました。

 

労働審判を経由して本訴に移行した場合、一般には争点整理や事実上心証の採取が終わっているので,迅速な進行が望めると叙述する専門書がありますが、これとは異なるという意見もあるようです。

 

思うに、労働審判制度は、民事審判制度が企画されるくらい成功モデルといわれているのですし,もっと調停機能を強めて欲しいというように考えます。実際、民事調停で、こうした試みをしている裁判所があります。そして、民事裁判にも拡大しようという提案も出されるようになりました。

現在の民事調停が機能しないのは,裁判所があっせん案をほとんど示さないからであり,労働審判は審判という形で示すので,調停でも緊張感がある、そこが高い解決率につながっているのだと思います。(補遺ですが、この点は、今後、積極関与に転じるという、読売新聞の報道もありました。)。

 

進行は調停的、書面は裁判的という印象でしょうか。

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