名目取締役と社債発行の責任
中には、頼まれて事実上、取締役に名前を貸しているという人もいるのではないでしょうか。
東京地裁で、社債を客観的価値からはなれた価格で販売した事案について、従業員の不法行為責任を認めました。たしかに、社債については購入価格に応分の価値があると考えがちですが、財政状態に関わる情報、実態はどうかということを吟味しないと適正価格かは分からないといえます。
この判決で注目されるのは名目取締役についても、監視義務を免れる理由にはならないとしている点です。経済的合理性ある社債発行であることを知りながら、代表取締役に事実の確認をしていないとして重過失が認定されました。
監視義務は名目取締役であっても免れることができないということは前から知られたことでしたが、改めて社債の発行の販売の勧誘についても監視義務があるといえるのではないか、と考えられます。