マンションの建設後、眺望を妨げてしまうマンションの建設を計画することはできる?

中小企業の法律サポーター弁護士のコラムです。

 

リーガルハイでも取り上げられていた、マンションを建設し、その後眺望を妨げるかもしれないマンションの建設「計画」がある場合は、現在の販売中のマンションの購入者に伝えなければならないのでしょうか。

 

それは伝えなければならないだろう、と考えられますが、判例から考えてみたいと思います。

 

判例として、東京地裁平成11年2月25日では、マンション販売業者に対する南側隣地への建物建築「計画」の告知義務違反による債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償が認められました。

 

そもそも、リーガルハイでは、「未だ計画にすぎないから計画は未定だ!」というセリフもありましたが、裁判例では、①建物の建設計画の告知を妨げる事情がないこと、②告知について支障がないのに隠したこと-をポイントとして挙げているようです。ところで、この点につき、計画はどの程度成熟したら告知しなければならないのか、という「青写真論」も抗弁としてあり得るのではないか、と思うところですが、判決では、上記の①、つまりは建設計画の段階でも計画があれば伝えないといけない、という論旨のように思われ、それが成熟しているか否かはあまり問題とされていないようです。

 

もっとも、具体的に「計画」ともいえないような構想段階、また経過年月などの諸事情によっては損害賠償が認められない可能性もあると考えられます。

 

損害額としては、購入代金1割の請求に対して、2パーセントの慰謝料が認められました。もっとも、商業地域や都心のように、相対的に日照、通風、眺望などの利益は、土地の用途によって異なると考えられますから、特に住宅地区の場合については、慰謝料の増額要素とされる可能性もあると考えられます。

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