医療法人代表理事の責任と医療機関債

医療機関債というと、ききなれませんが、有価証券ではなくあくまで医療法人との間の金銭消費貸借であるとされています。したがって、医療法人が破産すれば全損のリスクがありますし、償還日前は換金はできない等、流動性に乏しい資産といえます。

 

といっても、社債とパラレルに考えることができると解されますが、償還目途がないこと、発行要領も虚偽、使用目的は赤字補てんや遊興費にあてられていたというものです。

 

この点、代表理事の代表者としての責任が問題となりましたが、東京地裁平成27年3月27日は、医療機関債の発行中止などの措置をとらなかった点で過失があるとして、医療機関債の発行及び勧誘について、他の被告らと共同不法行為責任を負うとして、客観的共同があるとして、共同不法行為責任を認めています。

 

こうした点をみると、社債の発行は取締役会の決議事項とされていることが多いと解されますが、代表理事自体の監視義務も存在し、必要に応じて発行中止の措置をとる注意義務を認めた点に意義があります。医療法人は、株式会社とは異なるものの、他の社会福祉法人などの非営利法人のみならず株式会社の代表取締役にも、妥当する可能性があるものであると解されます。

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