転倒の危険の高い場合は老人保健施設としては骨折事故が生じた場合どうしたら?
甲さんは、老人保健施設に入所していましたが、既に何度も転倒し骨折歴もあるという場合、施設内で骨折をした場合、賠償責任は生じるでしょうか。
結論的には、やはりインテークが大事です。最初の見立てで、骨折のリスクが高い人と自社の施設がマッチングするかを判断し「断る勇気」も持ちましょう。
本件では、おそらく危険性が非常に高い人を入所させてしまったので、見守りの空白時間が生じないようにする注意義務が生じる可能性があるということになります。
具体的にはフットセンサーをつけておき作動したら駆けつけるということなのかもしれないですが、フットセンサーをつけていたら「見守りの空白時間」がなくなるとも思えません。
ですから、病院でもラウンドは夜間も2~3回行う程度です。ですから、「見守りの空白時間」がNGな人は受け入れ自体に消極的とならざるを得ないでしょう。
もともと危険性の高い人は、抽象的ですら具体的ですら転倒事故は予想することができます。
そうするとなんでもかんでも賠償責任に巻き込まれやすいといえるでしょう。
それに見合ったペイがあればよいのでしょうが、コスト的な制約もあるということで特に転倒の危険の可能性が高い人は空白の時間を埋めることがポイントです。
・見守りの空白時間をどのようにして埋めるか
・フットセンサーをつけていただけでは賠償責任を免れるとは限らない
しかし、このような事案で賠償を認めると、「身体拘束」を常に行った方が良いという判断に合理性が出てきて、かえって人間の尊重の観点から、疑問符もわいてくる裁判例ともいえるかもしれません。