現金の送付先になっている私書箱事業者の責任

私書箱事業者が、振り込め詐欺などに利用される可能性はあるかと思いますが、損害賠償事例でその影響がベンチャーなどにも多いのではないかとの裁判例が出ました(東京地裁平成28年1月26日)。

 

分かりやすると、判決は、犯罪収益移転防止法を引用し、この趣旨から、本人確認は形式的なものでは足りず、書類が真正なものであることなどを確認し、実質的に本人確認を求めている、という趣旨の内容をしました。そして、過去の会社の経験などから、契約後であっても平成23年11月の時点で、改めて実質的な本人確認をすべきであったのにこれを怠ったというものです。

 

そして,非対面取引の場合、会社は転送郵便物による本人確認をすべき義務を負っており賠償請求を認めています。

 

カウンセリングなどもそうだと思いますが、消費者を相手の場合、身分確認を求める業種は複数あると考えられますが、その確認が形式的なものでは足りず、しかも契約後であっても再チェックする義務があること、非対面取引の場合はその本人確認義務は高度のものになるとまとめられそうです。

 

非対面取引を希望する消費者の方は多いので、事業者としてよく注意をしたいところです。

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