トランプ対ワシントン州判事
話題になっているトランプアメリカ大統領が出した難民や中東・アフリカの7か国の国民のアメリカへの入国を禁止する大統領令をめぐる争い。
久しぶりの司法積極主義がアメリカでリベラルの立場からみられることは喜ばしい。
驚いたことに、大統領の執行停止を決めたのは、ワシントンDCとも、トランプタワーがあるニューヨーク州からもはるかはなれたカナダ国境に面するシアトルやポートランドがあるワシントン州の連邦地裁の判事である。
日本では、大統領令のようなものを「独立命令」というが憲法で禁止されており法律を制定する必要がある。それだけにアメリカの司法はアクティブでなければ独裁者からの危険から免れることはできない。連邦控訴裁判所は審理を行うことを決めて,即時に棄却することをしなかったことから,アメリカでは7か国の方の入国が再開され,ワシントンDCのダレス空港などでは,弁護士が入国の援助をしている。これほど,独立命令を執行停止にするという大統領VS判事の戦いは、判事の権限がいかに大きいかを示し,かつ,それが正義にかなっていることを示すのに十分であった。
たしかに我が国は難民の受け入れに極めて消極的であり、排外主義の国から「日本をみならえ」といわれているが、日本も人口オーナスが崩れ始めれば、フランスのように移民を積極的に受け入れなければならない時期もやってくるのではないか。
トランプ氏は,今度は判事に批判の矛先を向けているが,日本では,都合の悪い裁判官は左遷させるのが普通で管轄から東京地裁や東京高裁には配置しないので問題はおきない政治が行われているが、アメリカの法律では連邦地裁は、ワシントン州にもデルタのハブがあるため審理の対象となったのであろう。
トランプは「テロが起きたら判事のせいだ。」と断じている。しかし、ルーブル美術館の出来事もそうであるように、リベラルが争っているときに悪いことは起こるものだ。どうか、最終的な判断が出るまでテロは起きないように願いたい。司法は少数者グループの人権擁護のために存在しているのであって,代表民主制の下、代表者を議会に送ることができないことからこそ司法の正義の発揮が求められる。フランス・デューは,老女が入国を拒否されていた模様を伝え,「こんな70歳の女性がいったいアメリカにどのような脅威を与えることができるというのだろうか」と厳しく批判する報道をしている。ドイツZDFもトップで,ワシントン・ダレス空港で,弁護士が身柄を勾留されている人がいないかどうか奔走している姿を報道していた。少数者の人権の砦は,改めて司法制度にあることを物語る出来事であるといえる。
しかし、トランプは少数派に不利な大統領令を出し、それから彼らを守ろうとする自由・平等・博愛を侮辱している。トランプの支配などごめんだ。法の支配、それが今、ならずものの王様によって破られようとしている。最高裁判事のクビも挿げ替えようとしている。私はいいたい。幾多の王様(為政者)がいたが,王の中には首をはねられた奴もたくさんいると・・・。理解して欲しいものだ。すべての市民は法の前では平等であるということを。今こそ勇気を。