商品先物取引業者の取引全体が違法とされた事例

被告従業員から勧誘を受けて、商品先物取引を行った原告が、被告に対して、被告従業員による不招請勧誘、適合性原則違反、説明義務違反等の行為により、上記取引は全体として違法であるとして、使用者責任に基づく損害賠償として、1455万円及び取引終了日から支払済みまで年5パーセントの遅延損害金の支払いを求められた事例でした。

 

東京地判平成29年1月26日は、原告の録音データから丁寧に事実認定をしたうえで本件取引に係る被告従業員らの勧誘行為、受託行為は、全体として不招請勧誘、適合性原則違反、説明義務違反、仕切り拒否等の違法による不法行為を構成するとして、使用者責任を認めました。

 

損害については預託金額から返還金額を控除した金額1323万円が認められ、従業員の違法性の程度が高いとして、原告の職歴経歴等を考慮しても過失相殺として、考慮すべき原告の過失は認められないとして、過失相殺を否定したものです。

 

原告の録音データ、つまり被告従業員とのやりとりが丁寧に事実認定された点が特筆されるものと思われます。

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