分断が進む社会と再統合を目指す道。

いろいろなニュースをみていると、少なくとも社会科学の世界では、どうも人々の分断が進んでいる、という印象が強くなってきた。

 

その典型的なものは、英国のEUからの離脱するか否かというイシューだろう。

 

イングランドでは離脱派が多く、もともと英国から独立したいスコットランドでは残留派が多い。

 

EU残留を支持していた女性議員が、BBCワールドによると、「ブリテイン、ファースト」と叫んだ右翼過激思想の持主に殺害された。

英国で議員が殺害されるというのは前代未聞のことだ。主には、移民の受け容れ量とユーロ非加盟国であるのにユーロ危機のとばっちりを受けたことが離脱論の背景にあります。

 

しかし、歴史は繰り返すもので、尊王攘夷運動と本質的には変わりません。たしかに、英国とフランスでは、アフリカ系の人に出会う回数が全然違うと感じましたしディダクションをかけているのだな、というのは肌で感じます。そして、ドイツもフランスも官僚組織が充実していますから、いわゆる中央官僚の焼け太り批判もイギリスにはあるのですね。しかし、今後、保護主義的ブロック経済で、イギリスをやっていかせるつもりなのだろうか、と考えると、開国に舵を切った日本の明治時代を思い出すものですね。TPP論争も本質的には同じ問題ですし、日本は移民をほとんど受け容れていないので、こういう論争からも分断されています。しかし、移民かどうかは別として人口が減少し高齢化が進む日本でも移民の受け容れは避けては通れない道ですが、イギリスは英語が通じる(当たり前ですが)お手軽な国ゆえに移民の問題は深刻なのかもしれません。

 

そして、アメリカのフロリダで起きたテロ。これは、ホモフォビアによる犯行とみられますが、確信犯(自分が正しいと信じて行う犯罪)的な犯罪は悲惨です。そして、アメリカ大統領選挙も移民排斥を叫ぶトランプ。もはや冷めたピッツァのクリントン女史。民主党内でもサンダース氏が負け戦を続け、混乱を長引かせています。

 

ところで、昔の政治家などは必ずしもフィロソフィが一緒でなければ仕事をしないというスタンスではなかったと思います。それが再統合なのだろうと。

いやに記者会見が多く、かつ、長い東京都知事。それでも石原知事は、記者の質問に答え続けましたし、基本的にスタンスの違いからどうという発言もあまりなかったように思います。そして、石原氏の盟友は元自民党左派の亀井氏。亀井氏も、記者クラブ制度が排外的として、外国人記者とフリーランサーのみのお茶会を開催し重要なことはそこでいうようにするなど、閉鎖的な人間や多角的に物事をみない人には終始、シニカルな対応を続けていたように思います。今は、信念が、信念が、と政治家に求めますが、あまり信念が大事すぎるとネゴシエーターとして機能しないのですよね。理想が同じでなければ、というものはいいのでしょうが、信念というのは本来、おのおのの人間がそれぞれ持つものですから、それを統合していくと、結局、白か、黒か、分断が進む社会へと進んで行ってしまいますね。

 

表現の自由もしかり。ヘイトスピーチを規制するといっても、抽象的な法律の場合、政治的イシューが「ヘイト」といわれることもあります。例えば、安倍政権の排外を主張している団体や沖縄でアメリカ兵の排外を主張する団体も「ヘイトスピーカー」といわれるリスクをよく考えていない。意見の再統合集約を目指すのが、自由な論評なのですが、分断が進んだうえに、なんでもかんでも「ヘイトスピーチ」といわれかねないものが少数派の政党から出されること自体、大局、見えていますか?と問いたいものです。

表現内容規制は極めて厳格な規制で臨むべきと憲法学では誰でも大学で習っているのですが、場当たり的な立法、局所的視点が多いという印象です。

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