都議選の自民党敗北の感想
都議選の自民党の敗北は、奇しくも藤井聡太四段の黒星と重なるところもあった。
共謀罪について被疑者に今後は組織犯罪の場合、こうなりますよ、とレクチャーすると驚く人も多い。
例えば、大麻取締法違反の栽培罪の場合、肥料を買っても客観的準備行為になるので共謀罪が成立することになる。
後から回顧的に判断ができてしまい、予測可能性が立ちにくいというのが難点だ。
さて、東京都議選は、実はただの都議選ではない。日本の有権者の10パーセントの民意が示される場所であり、テーマは必ずしも都政にかかわるものばかりに限定されない。
そのため、どの政党も国政選挙と同じだけの態勢をとることになる。
聴衆から安倍首相に「辞めろ」コールが起こると、首相は「『こんな人」たちには負けるわけにはいかない」と述べたのだが、「こんな人」に負けたのは、謙虚さに耳を傾けなくなった一つのエピソードともいえる。同じことは藤井四段にもいえる。虚心坦懐目の前に石に向かい合うべきで、結果的に低段者は、低段者同士との対局が多いことから終わってみれば大したことではないのではないか、かえってタイトル戦の挑戦権も得られずに終わってしまった。一見、上手くいっているようにみえて周りにもてはやされるときほど要注意ではないのか、と思う。
一定の理解が得られた集団的自衛権や安全保障政策に関する法制は指示も得られている。しかし、共謀罪は刑法体系そのものを覆すものといえる。これを委員会採決を「省略」するということでは、委員会中心主義の否定でもあり、議会のルールすら無視している。これは、安全保障とは関係がなく、単なる警察官職務執行法と同じように警察立法の強化にほかならない。最近、被疑者からドローンで家の中を撮影されたことがあった、というように、警察の捜査手法もあの手この手となっている。
私は、安倍政権で、仮に野党に防いでもらいたい法案はすべて成立させられてしまった。したがって、後は、安倍政権の疑惑的なことを追及してもあまり生産的とは思わない。
むしろ行く先が気になるのは、都民ファーストの会と小池知事である。名古屋は減税日本という地域政党が初期のガバナンスに失敗した。また、昨日、TBS系が報道していたように、もともと小池氏は自民党で、単純に稲田氏や高市氏らの重用から自身が安倍政権が続く限り、一番脂ののった時期に何もできないところから、外に出たわけである。もともと、小池氏は論考で、大日本帝国憲法の復活を主張する破棄論を唱えた論者であり、都民ファーストにもそうした議員がいる。そういう意味で、東京都連を敵と見立てるものの、国政では安倍氏と協力することもあり得るように思われる。国政への挑戦はともかく都知事、現職としての実績と都民ファーストの実績が今日から問われはじめた、といえるのではないか。