フランスの裁判所を視察してきました。
こんにちは。
私は,お時間をいただきましてフランスの司法制度について研究するため,パリ市の最高裁判所とボルドー市の地方裁判所を視察してきました。
特に,フランスというのはフランス革命が起きた地であり妥協を許さない国民性であることが知られています。そうした国民性は,独創性となって裁判所の建物にも反映されているのではないかと思います。
ボルドー裁判所では,視察日には控訴審が5件開かれており,このうち3件を傍聴しました。
控訴院では原則として3名による合議体がとられていると聴いていましたが,当日の控訴審は,裁判官は一人でした。そして,異なる被告人3名につき弁護人が同時に3名着席しており,次々と控訴審の弁論を行っておりました。
フランスの法廷においての特色は,裁判官と同じ席の横側に検察官が座るということであり,フランスは日本のように起訴状一本主義もとられておらず(日本でも控訴審ではとられていません。),そのまま1審であっても一件記録をみることになりますが,事実認定に用いて良いのは法廷によって取り調べた証拠に限られるとのことです。
ボルドーの裁判所をみて驚いたのは,となりのトトロに出てきそうなワラの家のようなものが空に向かって5つほど設置されており,これが法廷になっていることでした。いちばん上から空が見えるようになっており,日本の裁判所のように圧迫感を感じない設計となっておりました。
次に,驚かされたのは,執務棟がすべてガラス張りになっていることです。よくみると事件記録などもみえるような気もしますが,すべての執務室が法廷棟から見えるように設計されていました。たしかに,裁判の公開というのは,これを公開することにより国民から直接選挙されたわけではない裁判官が不正を行わないように見張るという点にあるわけです。ですから,法廷を公開をするだけではこの趣旨を徹底することをできず,よりラディカルには執務室もガラス張りにするべきである,というフランス司法制度の妥協を許さない姿勢を垣間見ることができました。