感情は私有物ではない?
感情は私有物ではない。
この言葉、幸田露伴の努力論に出てくるが,どのように感じるでしょうか。
月並みな反応としては「思想良心の自由」「表現の自由」があるのに、感情が「公共物」であるとは何ごとだ,という声が聞こえてきます。しかし,私は,彼らに「自由になった後,何をするかが重要だが,何をするのか」と尋ねると,答えを持ち合わせていない人が多すぎるような気がします。
そういう意味で,憲法で思想良心の自由、表現の自由が保障されつつも、感情は私有物ではない,というのは勇気ある論陣だと思いました。いわく感情を個人の所有物とばかり考えると,自分の感情ばかりを主張するばかりとなってしまい、自分の感情を向上させたり純化させたりしようと思わなくなる。それは果たしてあるべき姿なのか。公正円満な感情の前には,偏屈で粗雑な感情は投げ捨てるしかない。
それは,当事務所がかかげる経営理念・クレドといったフィロソフィにもつながるものではないかと思います。思い返せば,小中学生時代は,思想良心の自由があるという勉強はした記憶がありますが,フィロソフィについて考える授業があれば,「自由」「自由」とさけぶ前に自分のやりたいことを早く定められたんじゃないか,そう考えてしまいます。
そういう意味では,目が覚める記述でした。
露伴はこうもいいます。
感情にも,教養と訓練が必要である。