接見トラブルが起きている?
毎日新聞のニュースで弁護人と被疑者・被告人との面会について,以下の記事がありました。
「容疑者や被告と接見する際のパソコンや携帯電話の使用を巡り、弁護士と拘置所側のトラブルが相次いでいる。拘置所側は、通話やメールで外部に証拠隠滅を指示されることを警戒して持ち込みを制限するが、弁護士側は「接見交通権の妨害だ」と訴える。
私も刑事弁護をやってきた経験がありましたが,大きなトラブルはなかったので,「相次いでいるのか」といえるかは分かりません。しかし,警察の留置施設の方では許容されていながら,法務省管轄の拘置所では許容されないというダブルスタンダードがあるから混乱している面があるし,戸惑うことはあります。
率直にいって今の時代,パソコンを持ち込ませないというのは時代錯誤だと思います。みなさんの会社でも打ち合わせにパソコンを持ち込んでいる社員さんもいるのではないか,と思います。
最近は,予備校や大学などでパソコンを持ち込ませるのが良いかという議論があるようです。京大ではタブレット端末を持ち込んで授業を受ける学生が増えたので,資料はメールで配信している教員もいるそうです。大学は柔軟なところが多いようですね。
現実,最近はパソコンの持ち込みでトラブルになるということはないと思います。まれに問題になりやすいのは,「問題がある事例」です。例えば,捜査官に殴られていて,被疑者に現実に腹部に傷があるようなケースでその被害を訴えており,証拠を保全する必要性がある場合などだろうと思います。
また,拘置所はたしかに新聞報道のとおりルール運用が無駄に厳しい,という印象があります。その論拠も薄弱で自分たちの都合しか考えていない,という気がします。コストを考える仕事ではなく,相手の都合も理解せず非効率を強要していては嫌われるのも仕方がないですね。
そもそも接見を申し入れた場合,警察は5分くらいで会えますが,拘置所では10分~40分くらい平気で待たされることがあります。その結果,次の予定から打ち合わせ時間が少なくなることがあります。
とはいうものの,結局は人間同士のことでありますし,コツがあるので,多くの弁護士は問題になりません。
気になるのは,公的機関側のメディアリテラシーの低さです。最近(というか今でも)まで裁判所も主な捜査機関も一太郎やOASYSを使うのが普通でした。ということで弁護士でも一太郎を使っている人が多いです。
タブレット端末についても,弁護士での利用は増えるでしょうが,今後は謄写もタブレット端末にできるようにしてほしいものです。記事によると平成7年のころの通達のようですが,もう時代がだいぶ変わったような気がします。
司法書士の友人に聞きましたが,最近は,登記申請はネットで行い,登記情報もネットで閲覧ができるので,法務局への「外回り」というのは頻度がだいぶ少なくなったとのことです。
この点,弁護士も郵送はできることが多いので,やろうと思えばできますが,「書類を引き取りにきてください」というリクエストが多いです。「この程度の書類,郵送してくれれば良いのに」と思うこともあります。弁護士業界ほど頻繁に営業以外の「外回り」が必要な業界も少ないのかな,と思います。
プライバシー性が強いのは理解できますが,昔は効率的に対応していたものも,現在はすべての部を廻るという対応です。遠方の事務所ほど頻繁に「外回り」はできないので,この点も改善の余地が多いにあるような気がします。